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マインドフルネスと認知行動療法特集

薬だけに頼らない精神科治療を目指して

近年の精神科外来治療における問題として薬物療法に偏りすぎていることが指摘されています。多剤併用問題、常用量依存問題などがその代表的なものです。
薬物療法が必要かどうかを慎重に検討すると、薬物が不可欠と言えない状況もあります。そのような場合、薬物療法以外の治療的選択をする場合もあります。
当院では、薬物療法以外の選択肢として、効果的な精神療法を取り入れております。

マインドフルネスと認知行動療法の実践

薬物を使わない場合の選択として、当院では認知行動療法とマインドフルネスを実施しております。
薬物療法を実施している方も認知行動療法やマインドフルネスを併用すると治療効果が上がると言われており、薬物療法とこれらの治療を併用することもあります。しかし、状況によっては、薬物療法を中心に治療をしなければならず、認知行動療法やマインドフルネスを実施できない場合もあります。

マインドフルネスを用いた個人通院精神療法8週間集中コース(保険診療)

概要

毎週1回1時間、曜日と時間帯を固定して(土曜日以外)、8週連続でマインドフルネスを用いた個人通院精神療法を実施するコースです。毎回医師(院長)がセラピストとして保険診療にて実施いたします(3割負担の場合1回1500円前後)。以下のような内容で実施しております。

テーマ 実施するスキル ホームワーク
第1週 自動操縦状態に気付く ・レーズン・エクササイズ
・ボディスキャン
・ボディスキャン
第2週 うまくいかないとき ・ボディスキャン
・呼吸へのマインドフルネス
ボディスキャン
・呼吸へのマインドフルネス
・うれしい出来事日誌
第3週 呼吸へのマインドフルネス ・見る練習または聞く練習
・呼吸と身体へのマインドフルネス
・マインドフル・ウォーキング
・3分間呼吸空間法
・呼吸と身体へのマインドフルネス
・マインドフル・ウォーキング
・いやな出来事日誌
・3分間呼吸空間法(定期)
第4週 現在にとどまる ・見る練習または聞く練習
・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス
・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス
・三分間呼吸空間法(定期、随時)
第5週 そのままでいる ・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス ・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス(ガイドなしでも実施)
・三分間呼吸空間法(定期、随時)
第6週 思考は事実ではない ・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス ・ボディスキャン、呼吸と身体、音、 思考へのマインドフルネス、マインドフル・ウォーキングを組み合わせて実施
・三分間呼吸空間法(定期、随時)
第7週 自分を大切にする ・呼吸と身体、音、思考へのマインドフルネス
第8週 これからに活かす ・ボディスキャン 日常生活をマインドフルに!

*ホームワークは1日40分くらいかかります(音声ガイドによる瞑想)

マインドフルネスとはどのようなものか、マインドフルネスの概要についてはこちらをご覧ください。

認知行動療法とマインドフルネス

http://www.sakuma-clinic.net/shinryo/mindfullness.html

当院では、2012年7月からマインドフルネスを少しずつ導入してきました。当初はグループ療法で出発しました。当時の様子は以下のページをご参照ください。

マインドフルネス(集団)認知療法<第1回>

http://www.sakuma-clinic.net/shinryo/mindfullness02.html

マインドフルネス(集団)認知療法<第1回>が終了しました。

http://www.sakuma-clinic.net/news.html

その後、グループでの実施が難しいため、個人療法として実施しております。
プログラム内容は、ジョン・カバットジンによる「マインドフルネスストレス低減法MBSR」、それをうつ病の治療に導入したマーク・ウイリアムズらによる「マインドフルネス認知療法MBCT」(両者は内容的にはほぼ同じ)に準拠しています(参考図書参照)。
MBSRもMBCTも本来グループ療法で1セッション2時間くらいかかりますが、個人療法では1時間に凝縮して行っています。セッション中の瞑想の実践も、グループ療法では30〜40分くらいかけて行いますが、個人療法では15〜20分と短縮しています。院長がガイドしながら行いますのでご安心ください。
実施対象は不安やうつが関連する病状や疾患です。主に軽症から中等症のうつ病、抑うつ不安の強い適応障害の方、不安障害の方等です。薬物療法をしながら実施するケースもあります。
実施の適否は、診察をして病状などを勘案し判断いたします。そのため実施のご希望に添えない場合もあります。病状が不安定な時期等は実施できません。また、治療以外の目的での実施はお断りしております。他院に通院中の方の実施もお引き受けしておりません。
実施が決定されても、開始までに4〜8週間待機していただく場合もあります。
実施する曜日(土曜日以外)・時間帯がばらつかないようにあらかじめ3〜4回先くらいまでの予約をお取りしながら実施します。そのため、実施にあたっては、原則キャンセルのないようにお願いしております。毎日ホームワークとして30分以上瞑想をすることが不可欠ですので最初は結構辛いです。8週間はマインドフルネスに専念できる環境を作ることが必要です。忙しくて予定が立てにくい、キャンセルなく継続する自信がない、ホームワークに専念する自信がない等の方は、今すぐ始めないほうが良いと思われますが、興味のある方はご相談ください。

参考図書

(1) Kabat-Zinn, Jon著, 春木豊訳. マインドフルネスストレス低減法. 京都, 北大路書房, 2007.
(2) Segal, Zindel V., Williams, J. Mark G., Teasdale, John D.著, 越川房子監訳. マインドフルネス認知療法:うつを予防する新しいアプローチ. 京都, 北大路書房, 2007.
(3) Williams, J. Mark G., Teasdale, John D., Segal, Zindel V., Kabat-Zinn, Jon著, 越川房子, 黒澤麻美訳. うつのためのマインドフルネス実践:慢性的な不幸感からの解放. 東京, 星和書店, 2012. (瞑想ガイドCD付属、それを用いてホームワークを実施していただきます)

マインドフルネスの実践は、「私とは何か」という根源的な問いに導かれているところがあります。
当院ではそのような問いを追求したマインドフルネス研究も行ってきました。

学会発表(演題)

(1) 佐久間健一,佐久間伸子:マインドフルネスの現象学.第35回日本精神病理・精神療法学会 2012年10月 九州大学医学部百年講堂(福岡市)
(2) 佐久間健一,佐久間伸子:マインドフルネスと絶対無.第36回日本精神病理・精神療法学会 2013年10月 京都府民総合交流プラザ 京都テルサ(京都市)
(3) 佐久間健一,佐久間伸子,越川房子:マインドフルネスは精神療法か? 第1回日本マインドフルネス学会大会 2014年10月 早稲田大学国際会議場(新宿区)
  最優秀ポスター発表賞受
  http://mindfulness.jp.net/taikai_info.html
(4) 佐久間健一,佐久間伸子,越川房子:マインドフルネスと時間.第112回日本精神神経学会学術総会  2016年6月 幕張メッセ・アパホテル&リゾート東京ベイ幕張(千葉市)

著書(分担執筆)

(1) 佐久間健一:マインドフルネスの導入経験.〜治癒の現象学〜 貝谷久宣, 熊野宏昭, 越川房子編. pp151〜169,マインドフルネス:基礎と実践. 日本評論社, 2016.

当院紹介記事

(1) YOMIURI SPECIAL70 病院の実力 こころ・ストレス・認知症
ルポ『「マインドフルネス」でストレスに対処』に当院で実施された「マインドフルネス認知療法」(2012年7月)が紹介されました。

認知行動療法16週間集中コース(保険診療)

概要

毎週1回1時間、曜日(土曜日以外)と時間帯を固定して、16週連続で認知行動療法を実施するコースです。医師(院長)がセラピストとして保険診療にて実施いたします(3割負担の場合1回1500円前後)。以下のような内容で実施しています。

主なテーマ・アジェンダ 主なスキル・ホームワーク
第1週 基本心理教育
PMについて
活動記録
活動記録
ABCシート
第2週 目標について
ストレスコーピングレパートリーリスト
PM実験
活動記録
ABCシート
ストレスコーピングレパートリーリスト
PM実験
第3週 目標について
三つのコラム
活動記録
ABCシート
PM実験
第4週 考え方のくせについて 活動記録
ABCシート
第5週 認知再構成上級編 活動記録
7つのコラム
第6週 (オプションで問題解決技法、アサーション) 活動記録
7つのコラム
第7週 活動記録
7つのコラム
第8週 活動記録
7つのコラム
第9週 活動記録
7つのコラム
第10週 活動記録
7つのコラム
第11週 活動記録
7つのコラム
第12週 活動記録
7つのコラム
第13週 スキーマの検討 活動記録
7つのコラム
スキーマの検討
第14週 活動記録
7つのコラム
スキーマの検討
第15週 活動記録
7つのコラム
スキーマの検討
第16週 まとめ まとめ

毎回医師(院長)がセラピストとして実施する保険診療による個人の認知行動療法です。概要は当院のホームページをご覧ください。

心療内科・精神科のご案内

http://www.sakuma-clinic.net/shinryo.html#ninchi

認知行動療法とマインドフルネス

http://www.sakuma-clinic.net/shinryo/mindfullness.html

認知行動療法の概要をさらにお知りになりたい方は、「独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)」ホームページ中にある「認知行動療法センター」ホームページの「認知行動療法とは」のページがとても参考になります。

「独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)」ホームページ

http://www.ncnp.go.jp/index.html

治療プログラムは「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)」に準拠して行います。詳しいプログラム内容は、同ページにある「患者さんのための資料」をご参照ください。

厚生労働省 介護福祉 心の健康

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/index.html

実施対象は不安やうつが関連する病状や疾患です。主に軽症から中等症のうつ病、抑うつ不安の強い適応障害の方、不安障害の方等です。薬物療法をしながら実施するケースもあります。診察した上で実施の適否を判断いたしますので、実施のご希望に添えない場合もあります。他院に通院中の方の実施はお引き受けしておりません。実施が決定されても、開始までに4〜8週間待機していただく場合もあります。
当院では独自に工夫して作成したオリジナルの教材を電子カルテのディスプレイでプレゼンテーションしながらセッションを進め、独自に作成したワークシートを使用してホームワークを実施していただいております。
実施する曜日(土曜日以外)・時間帯がばらつかないようにあらかじめ3〜4回先くらいまでの予約をお取りしながら実施します。そのため、原則キャンセルのないようにお願いしております。
認知行動療法も毎日ホームワークがあります。活動記録、思考記録など様々なワークシートを使って1日10〜20分くらいかかります。ホームワークにどれだけ専念できるかによって治療効果が左右されることがわかっています。
キャンセルなしで継続する自信のない方、ホームワークをこなす自信のない方は、今すぐ始めないほうが良いと思われますが、興味のある方はご相談ください。

認知行動療法・短時間セッションゆるやかコース(保険診療)

概要

定期的に毎週1回来院できない、毎回1時間は難しい、でも認知行動療法を自分なりに、自分のペースでやってみたいという方向けの診療コースです。
対象は上記と同様ですが、忙しい方向けです。
毎回医師(院長)がセラピストとして保険診療で実施します(3割負担の場合1回1500円前後)。
毎回希望の曜日に予約をとり(1〜2週間間隔、可能な範囲で)、30分前後の時間をとって実施します(30分とれない時もあります)。
通院間隔も毎週とはせず、回数も16回と限定せず、必要に応じてそれより短くしたり長くしたりもしています。
短時間セッションゆるやかコースの特徴は、認知行動療法のプロトコル、すなわちワークブック形式のテキスト・教材を用いることです。
代表的なものとしては
(1) 大野裕. :こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳. 創元社, 2003.
(2) Barlow, David H., Farchione, Todd J., Fairholme, Christopher P., Ellard, Kristen K., Boisseau, Christina L., Allen, Laura B., Ehrenreich-May, Jill T.著, 伊藤正哉, 堀越勝訳 :不安とうつの統一プロトコル:診断を越えた認知行動療法. 診断と治療社, 2012.
(3) Addis, Michael E., Martell, Christopher R.著, うつの行動活性化療法研究会, 大野裕, 岡本泰昌訳. :うつを克服するための行動活性化練習帳:認知行動療法の新しい技法. 大阪, 創元社, 2012.

特に(2)はマインドフルネスが取り入れられており、1日15分くらい音声ガイドを聞いて瞑想を行います。
実施対象は不安やうつが関連する病状や疾患です。主に軽症から中等症のうつ病、抑うつ不安の強い適応障害の方、不安障害の方等です。
やはり、ホームワークに専念することが重要です。1日10〜20分くらい必要です。
診察した上で実施の適否を判断いたしますので、実施のご希望に添えない場合もあります。他院に通院中の方の実施はお引き受けしておりません。
薬物療法をしながら実施するケースもあります。

認知行動療法の特殊な領域への適応とその教材

不眠症

(1) Edinger, Jack D., Carney, Colleen著, 北村俊則, 坂田昌嗣訳. 不眠症の認知行動療法:治療者向けマニュアル. 日本評論社, 2009.

禁煙治療

(1) 原田隆之著. 認知行動療法・禁煙ワークブック:Re-Freshプログラム. 金剛出版, 2014.

肥満症

(1) Beck, Judith S.著, 坂本玲子, 大野裕訳. 認知療法で二度と太らない心と体をつくる:ベック式ダイエット練習帳. 創元社, 2012.

薬を使わないで不眠症治療をしたい、禁煙にチャレンジしたい、肥満を治したいという方はご相談ください。
肥満を治したい方の場合は、当院内科を受診していただきダイエットの必要性を医学的に判断します。その上で実施するかどうかを検討いたします。

通常の通院精神療法への「10分間CBT(認知行動療法)」の導入(保険診療)

通常の外来診察において、10分〜20分で実施できるさらに短時間で有効な認知行動療法も取り入れていきたいと思っています。毎回医師(院長)がセラピストとして保険診療で実施します(3割負担の場合1回1500円前後)。
「10分間CBT」はイギリスのGP(General Physician家庭医・一般医)が実施しているものです。イギリスでは日本の医療制度とは異なり、どのような医学的問題に対しても日本のようにすぐに専門医を受診することはできません。まず最初にGPが診察し、必要に応じてGPが専門医に紹介するというシステムになっています。精神的な問題でも重症ではないケースではGPが治療します。その際多忙なGPがCBTを適応しやすいように編み出されたのが「10分間CBT」です。
10分間とはいえ認知行動療法のエッセンスがコンパクトにまとめられたセラピーで、適応範囲も広く、治療の第一歩として幅広く実施することができるのではないかと考えています。ご相談いただければと思います。

参考図書

(1) David, Lee. Using CBT in General Practice. 2nd Edition The 10 Minute Consultation. Scion Publishing, 2013.

マインドフルネスと認知行動療法の関係・連携

マインドフルネスと認知行動療法との関係はこちらをご覧ください。

認知行動療法とマインドフルネス

http://www.sakuma-clinic.net/shinryo/mindfullness.html

どちらの治療法も、実施・実践してみると予想以上に効果があると感じられる場合もあれば、効果がはっきりしない印象を受ける場合もあります。
何れにしても8週間(マインドフルネス)、もしくは16週間(認知行動療法)で完結するわけではなく、セッションで身につけたスキルを長期にわたって使っていくことが大切です。そのことを通じてはじめて、本来の効果が出てくるものと言えるでしょう。
マインドフルネスのみ、もしくは認知行動療法のみを実施した方がいる一方で、両方ともされた方もいらっしゃいます。近年は、マインドフルネスへの注目度が高まって、まずマインドフルネスをやってみたいというご希望で受診される方が増えています。診察の上、適否を判断して、そのままマインドフルネスのセッションを実施する場合もあれば、その前に認知行動療法の実施が必要と判断される場合もあり、認知行動療法を先にしていただいて、後からマインドフルネスを実施したケースもあります。また、最初は認知行動療法を希望されて受診され、認知行動療法を実施、その後マインドフルネスにも興味を持たれて、マインドフルネスを実施された方もいらっしゃいます。興味のある方はご相談ください。

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